えびさん備忘録

A.B.C-Zの備忘録を作るつもりで始めたブログです。Kis-My-Ft2と田島将吾くん(Jr.時代)も。最近は高橋優斗くんとHiHi JETにも。手元の資料が増え始めたので索引的にまとめました。(まとめる予定でした。)

キフシャム国は幻想のままで

今週のお題「好きな街」
真っ先に思い浮かんだのが長野県の南箕輪村伊那キャンパス。「街」とは違うかもしれないが。
伊那キャンパスとは信州大学農学部があるキャンパスだ。
私はその農学部の森林系の学科を志望していた。そう、実現はできなかった。
でもそれからしばらく経った今でも思う。あそこで生活したかったと。

 

そもそもなぜ私が森林系の学科に入りたかったか。
それは鴻上尚史さん作・演出の舞台『キフシャム国の冒険』のDVDを見て、「精霊に触れたい」とそう思ったからだ。

この作品は不思議なことに見るたびに感想が変わる。
その日の気分、自分の置かれた状況によってもまったく違う作品に見えるし、どの人物の立場に立って見るかによっても大きく変わる。同じ人物の立場でもちょっとした動作にその人物の違う感情が垣間見えたりして、その度に違う物語に見えてくる。
非常に細かく演出がつけられているので、カメラが切り取った領域外でも物語を読み解くヒントなる演出があったのだろうと思う。
もう何十回と見たけど今でも物語が変わり続けている。

そんな小難しいことを抜きにしても純粋にこの作品が好きだった。世界観だったり、物語だったり。
当時の私にとってはこの作品が心の支えになっていた。

ここに出てくる精霊はみんな自然界に存在する何かが元になっている。
「もしかして愛をこめて向き合えば通じあえることもあるんじゃなかろうか」、非常に短絡的だが、そんなことを思い、森林系の学科がある学校に通いたかった。

 

そこでまず候補にあがったのが、冒頭で記した、信州大学農学部である。
南箕輪村は思った以上に私の地元の風景に近く、本当にこの辺にキャンパスがあるのだろうかと思ってしまった。
しかもなかなか辿り着かない。散々迷ったあげく、近くにあったお店の人に道を聞いてようやく着いた。

 

私がそのキャンパスに訪れた日はまさに紅葉日和。背の高い木が並ぶ入口は天然のアーチで飾られ、端っこの方に「信州大学 農学部入口*1」と書かれた小さい看板が立っていた。
「これは精霊がいるかもしれない。」ふとそう思ってしまった。

 

さらに中に進んでみる。
建物が見えたがそこはいたって普通だった。とりあえず右側に木の道が続いていたので、そちらへ進んでみると、そこはまだ部分紅葉でなかなか面白い景色を楽しめた。
しばらく進むと続いていた建物の群れがなくなり木に囲まれた道を進む。そろそろ引き返そうかとも思ったのだが、何やら寮があるらしいとのことで目指してみることにした。

バッと視界が開け飛び込んできたのはファンタジーの世界のようだった。
寮の景観からロータリーまで。敷き詰められた黄色い絨毯。宙を舞う葉。
間違いない、ここには精霊がいる。

とはいえ、正直外部者がこんなところまで踏み込んでいいのかという不安も大きかったため、狐に化かされているかもしれないと本気で思った。

 

「早く引き返そう」
そう思ったものの、そのとき偶然人が通りかかり、寮の中も見させてもらえることに。(あのときは本当にありがとうございました。)
気になる寮内もいろんな意味でファンタジー。
思った通り過ぎる寮に今でも狐に化かされていたんじゃないかと思うけど、入学していないので調べる術はもうない。(まぁそれは冗談だが、木というものにそれまで親和のなかった私にとってはそれくらい信じ難い世界だった。)

 

それからはさらに意欲が高まり力をこめて勉強した。でも力揮わず受験すらしていない。
もう一度くらい訪れてみたいけど、これくらいあやふやな記憶として残しておくのもいいかなと思い、それっきり。
訪れたのは一度限りだが、今でも好きな場所として私の中に残っている。
基本、自分の力不足で達成できなかったことは後悔しないタイプなのだけど、こればかりは少し心残りである。

*1:写真を撮りそびれたため正確には覚えていない。